タテハ通信

好きな物があればあるほど人生は楽しい。そんな私の日常を綴っています。

俳句は一番の遺産

 

       曙や 太古の色の 大賀蓮

                          (父の句集より)


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(画像はACさんからお借りしました)

私はこの父の句が好きで、いつかブログに掲載しようと思いながら、毎年時季を外し、やっと今日掲載出来た。

大賀蓮は2000年前の地層から、3粒の実が発掘されその内一粒が発芽に成功、ピンク色の大輪の花を咲かせた。

たった一粒!まさに奇跡の花だ。

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泥の中に咲く花に、生前の父の姿が重なる。

64歳で亡くなった父は、一言で言うと短気な性格。急に怒鳴り出すので、例え機嫌が良さそうな時でも、近寄れなかった。

真面目で、けっして悪い人間ではない。父が遺した俳句を読むと、どの句にも優しさが溢れている。ユーモアに満ちた句も多い。

こんな風に家族や世の中を見ていたのか、と亡くなってから初めて分かった。

私にとってそれらの俳句は、生前の父の胸中を偲ぶ唯一のよすがとなっている。

父方の祖父はアルコール依存症で、仕事もろくにせず昼間から呑んでばかりいた。

従って父には、かくあるべきという、父親のモデルが居ない。

祖母は苦労しながら呉服屋兼クリーニング屋を始め、一家の暮らしを担った。そして8人の子供を産み育て、父はその長男だった。

 

本来は三男だったけれど、兄二人が早世して、責任は父の双肩にかかってくる。相当大変な思いをしたと思うが、それを語った事はなかった。ただ耐えるだけの人生だったのかも知れない。

その憤懣から、時々怒りを爆発させていたのだろうか。家族にとっては大迷惑だったけれど。

 

勿体無いなぁ、勿体無いよお父さん。

こんなに素敵な俳句を詠めるのなら、もっと私の近くにいて、愛情を伝えてくれたらよかったのに。

 特別な事なんか無くていい。ただ目が合えば笑ってくれるだけでよかったのに。それだけで私は十分幸せだったんだよ。

お父さん、聞こえてる?