タテハ通信

好きな物があればあるほど人生は楽しい。そんな私の日常を綴っています。

一ヶ月半ぶりに実家に帰ったら、母の認知症が進んでいた

「最近体はどう?」
「うん、ちょっと腰が痛くてね」
「それは大変だね。近々帰るから、病院に連れて行ってあげるね」
「ああ、ありがとう」
それは、しごくまともな会話でした。

実はその前日、叔父(母の弟)から、母が認知症らしいという、ショッキングな内容の電話がありました。
道に迷い、警察に保護されてパトカーで送られた、というのです。
以前にも、自宅近くの停留所でバスを降りたら、自宅への道が分からなくなって近所の人に送って頂いたことがあったそうです。

覚悟はしていたけど、いよいよ来たか…。

実家に帰ると、玄関が開いていません。
チャイムを鳴らしても出て来ない!
いつもなら、私がすぐに入れるように開けてあるのに…。
異変を感じて、合鍵で中に入りました。
母は応接間のソファーにちょこんと座って、大音量でテレビを観ていました。
「あれ?今日だっけ?」
私を見ても、大して驚いた様子もなく、キョトンとしています。
大きな音に掻き消されてチャイムが聞こえないのは分かるけど、私が帰る日を忘れたの?

そんな態度を見ると、悲しいとか心配とかいうよりも、怖くなってしまいました。
知らない人がそこに居るような。

認めたくはありませんが、それはあきらかに、認知症なのでしょう。
でも、ちょっと思い直しました。
お母さんは、まだ、私を忘れてはいない!

「お母さん、補聴器は?」
「ああ、なくしちゃった」
「えっ、また?この前なくして、作ったばかりでしょ?」
辛うじて片方はありましたが、それも反対の耳に填めてます。
「どうして反対に填めてるの?」
耳に腫れ物が出来たから、と言うので調べると、少し赤くなっているので、それは本当らしい。

話がトンチンカンでおかしな所が多く、一体どうすればいいのか途方に暮れていると、介護用品のレンタルの会社の方が、定期点検にみえました。
その方は来訪の電話連絡をしていたそうなのですが、母にはその記憶が無いようなのです。
様子がおかしいと察したその方が、支援センターに電話して、すぐに担当のケアマネージャーさんが来て下さいました。

その日から、ケアマネージャーさんをはじめ、民生委員、近所のお世話係の方、心配した叔父、などが毎日のようにみえて、今後どうすればいいのか相談です。
安否確認の為にもヘルパーさんに来てもらったり、検査を受けさせたりしなくてはいけないのに「他人が家に入るのは嫌!私はしっかりしているから、検査も絶対に嫌!」
と、全て拒否。

全くお手上げですが、何とか同意してくれたのは、お弁当の配食サービスでした。
それなら、毎日安否確認が出来そうです。
それを足掛かりにして説得に説得を重ね、近所の人にも行くように話をして頂き、やっと検査をすると言ってくれました。
でも、9月まで予約が一杯でした。
それまでにまた進行していないかと、心配です。

それからの私は、整形外科への付き添いや買い出し、家の管理、そして勿論母の世話にと奔走する日々を過ごしています。

日光アレルギーなので、日が昇る前に起きて
庭の草むしりをしています。
足を何箇所も、虫に刺されてボコボコ。
悲惨な状態ですが、少しはいい事もあります。

雨上がりの朝、庭の片隅に1本だけ咲き残ったネジ花を見つけました。
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他のものは枯れてしまっていたのに、なぜかこれだけがかわいらしい花をつけていて、しみじみと眺めていました。
こんなに小さいのに、一つ一つがちゃんと蘭の形をしている。
それがまるでこの花のプライドのように感じられます。
母によると、引っこ抜いても毎年咲くのだそうです。
そう言えば、ネジ花は絶滅しないと聞いた事があります。
強いな〜。私も見習わなくてはね。

ご近所さんから、採れたてのお野菜がどっさり届きました。
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「大変ですね。ジャガイモ、タマネギ、キュウリならいつでもあるから、言ってね」
ご主人の介護を、何年もされている方です。
多くを語らぬ優しさが、身に沁みました。

母に振り回されてつい声を荒げてしまい「私、病気の人に向かって何言ってるんだろ」と、時に激しく落ち込んでしまいます。

でも、進歩も見られます。
母の表情がだんだん豊かになり、会話が噛み合うようになってきました。
「白鳳は偉いね〜。怪我をして負けても立ち直って連勝しているんだよ」
相撲好きの母の言葉に光明を見いだした気がして「そうだよね〜。凄いよね〜。頑張りやさんだねえ〜」と力を込めて言うと、母は嬉しそうに笑いました。

そうか。
こんなさりげない会話が、本当は重要なんだ。

それからは、小さな事でも母に話し掛けたり褒めたりしています。
「着替えが早く出来たね」「お風呂が綺麗に洗えてるね」「洋服をちゃんと畳めたね」など、本当にささいな事。
でも、褒めると母の瞳はキラリと光ります。
ちょっぴり脳が活性化するのかしら。

母から学ぶことはまだまだ沢山あります。
そして、私と母の新しい関係が、これから始まっていくのでしょう。

愚痴めいた話を長々と書いてしまいました。
最後までお読み下さり、ありがとうこざいます。