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タテハ通信

好きな物があればあるほど人生は楽しい。そんな私の日常を綴っています。

ご近所さんの意外な真実

日曜日は京都市長選でした。

この時期に必ずやって来るのは、この方です。

kisaragikyo.hatenablog.com

簡単に説明しますと、二年前から近所の一人暮らしのおばあちゃんに選挙の付き添いを頼まれてお連れしているのですが、往復10分の道のりを2時間以上かけて往復し、同じ話を何十回も話されるので、その日はグッタリ疲れてしまうのです。無事にお連れしなくてはいけないという責任もあり、とても憂鬱な気分になってしまいます。

しかも前回は、ストレスから『光視症』という目の病気になってしまいまいした。

やはり今回も「選挙に連れて行っていただけないでしょうか」

と、何回もお見えになりました。

居留守を使おうのなら、しつこくドアを叩かれるので、仕方なく応対。

本当はイヤなのですが、私の母もご近所の方にお世話になっているのですから、私もご近所さんに優しくするのが当たり前と自分に言い聞かせ、お引き受けしました。

投票場への往復は、時々休憩しながら二時間半を要し、おばあちゃんを家まで送り届けてから漸く自宅に帰り着きました。

帰った途端に「は~っ」と大きなため息。心身共に疲れました。

 

「イヤだなんて思う私は、随分狭量な人間だなぁ」と反省しつつ、気晴らしに夫と散歩に出かけました。

「そんなに疲れるんなら、もう断った方がええんちゃうか?断ってやろうか?」と夫は言います。

断る事が出来たらそれに越したことはないけれど、近所付き合いが気まずくなっても困るしなぁ……。

そんな事を考えながら歩いていると、道路を隔てた向こうの歩道を指して、驚いたように彼が言いました。

「あっ、あれ、例のおばあちゃんじゃないの?」

「えっ、うそ……」私は目を疑いました。

だって、それはどう見ても確かにあのおばあちゃんなのに、杖も持たずに、しっかりとした足取りでスタスタスタと歩いていたのですから。

二人で目を凝らして暫く観察していましたが、体つきや服装からもやはり彼女に間違いありません。やがて彼女は角を曲がって見えなくなりました。

「あの人、ちゃんと歩けるんだ」二人共開いた口がふさがりません。

さっきまで、杖を持って私の腕にぶら下がらんばかりに掴まり、やっと歩ける程度だったんです。今にも倒れそうな様子でヨロヨロと。

少し歩くと息も絶え絶えになって休憩…を何度繰り返したか知れません。

でも、よ~く考えてみれば、そんなに体調の悪い人が投票に行こうなんて思うでしょうか。それに、ご自分では「週に一度往診に来てもろうてますけど、どっこも悪いとこはおまへんねん」とおっしゃっていました。それにしては体調悪そうやなぁ、と私は不思議な気がしていたのです。

「要するに、キミは騙されてたんやな。今度からはやめときや」

そう言われながら、私はとても混乱して、様々な思いが頭の中をグルグルと駆け巡っていました。

 

一体、なんであんなお芝居までして、私と投票に行きたかったのでしょうか。

私を騙して心の中では笑っていたの?

それとも家族の居ない寂しさから、一時の家族ごっこを楽しみたかったの?

何度も何度も同じ話を繰り返していたのは、本当は頭はしっかりしているのに私を試していたの?

彼女は時々立ち止まり、私を見上げては「娘と歩いているようでカッコイイですわ」と言っていたけれど、あれは本心?

彼女の寂しさは、理解できないでもありません。隣家の人達とは仲が悪く、相手になってくれる親類も居ないし、それで孤独に心を蝕まれているのかも知れません。

でも、彼女の事を全く信じられなくなった今は、次回からははっきり断ろうと思っています。