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タテハ通信

好きな物があればあるほど人生は楽しい。そんな私の日常を綴っています。

『奇妙な味』の名手

キス・キス (異色作家短編集)

キス・キス (異色作家短編集)

朝日新聞『三谷幸喜 ありふれた生活』に『キス・キス』についてさらっと書かれていたので、この本を読んだ時の事を思い出しました。

日常に起こりうる小さな災いから大きな衝撃まで、心理を掘り下げ趣向を凝らした短編が集められています。

当時高校生だった私は、夢の中にまでその残照を引き摺ってしまいました。年月が経過した現在でも、この本の中のどの小説もはっきりと思い出す事が出来ます。クスリと笑える場面、なるほどと納得する場面もあります。しかし、自分にも起こりうる身近な事件は、現実味があるだけに却って怖さが増すのです。

 今書きながら気付いたのですが、開高健の翻訳だったんですね。

まあ、一度読んでみてその絶妙で奇妙な味を味わって下さい。

まっ白な嘘 (創元推理文庫)

まっ白な嘘 (創元推理文庫)

奇妙な味という点では、こちらも心の奥深くに残る秀逸な作品です。『キス・キス』と同じ時期に読みましたが、ドキドキ感はこちらの方が強いかも。

どれも面白かったのですが、特に気に入ったのは『踊るサンドイッチ』と『うしろを見るな』です。前者はストーリーと謎解きの面白さにハマり、後者は何と言っても小説なのに思わず目を閉じたくなるようなその恐怖感。

じわじわと液体がしみ込むように、読者の恐怖が増していく手法は、さすがブラウン。そして、「続きはあなたの現実で…」とでも言わんばかりの結末。

後者は特に、昼間読むことをお勧めします。