読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

タテハ通信

好きな物があればあるほど人生は楽しい。そんな私の日常を綴っています。

歌野晶午

彼の作品はどれも凄味があり、最後まで結末を予想できないのです。緻密に組み立てられたプロットが存在するからこそ、そう感じるのでしょう。

葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)

葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)

最初に読んだのはこの作品『葉桜の季節に君を想うということ』でした。

真相究明の為にフットワーク軽く街を走り回り、時には危ない橋だって渡る。そんな彼らにハラハラしながら読み進んで行きます。

そして最後のあの衝撃。これを読んだ人は誰もが笑いながら「ああ、騙されちゃったなー」と頭をかく事でしょう。そしてあらためてタイトルを見直すと「おお、そういう意味だったのか」と頷くのです。これぞ歌野晶午の真骨頂と言えるでしょう。

女王様と私

女王様と私

女王様と私も、見逃せない作品です。

オタクでニートでひきこもり的な人間と、彼にとって女王様的存在のアイドルとの関係が書かれているのですが、時々生意気で可愛い妹が登場します。物語はこの三人が軸になって進んで行きます。

でも読んで行くうちに、何かお尻がムズムズするような居心地の悪さを感じるようになります。その正体は何だろう、と思いながらストーリーを追っていくうちに、だんだんその正体が見えて来るのです。

そしてラストに納得しながらも、後にはゾッとするような嫌な味が残るという仕組みなのです。

絶望ノート (幻冬舎文庫)

絶望ノート (幻冬舎文庫)

これも不思議な作品です。

いじめを受けている中学生が人間の頭部大の石を拾い、神が宿っていると信じて語りかけ、ノートに自分の思いを綴っていきます。デスノートさながら、綴られた事は現実となるのですが、ここにも何が真実なのか分からなくなるような仕掛けが施されています。その辺が歌野氏の巧みなところですね。

そしてラストには勿論、読者の期待を裏切らないとっておきの衝撃が用意されています。

世界の終わり、あるいは始まり (文芸シリーズ)

世界の終わり、あるいは始まり (文芸シリーズ)

これは、とても考えさせられる作品でした。

自分の子供が殺人を犯したかもしれないと考える父親。その心は、二つの相反する気持ちの間を振り子のように揺れ動きます。思春期の子を持つ親がこれを読めば、たちまちその父親の気持ちになって悩みつつ読み進む事でしょう。

最後の最後まで悩み続け、彼が出した結論は…。そして、真実は…。サカキバラ事件を彷彿させるこの小説、けして他人事ではないのです。

安達ヶ原の鬼密室 (講談社文庫)

安達ヶ原の鬼密室 (講談社文庫)

新装版 長い家の殺人 (講談社文庫)

新装版 長い家の殺人 (講談社文庫)

新装版 白い家の殺人 (講談社文庫)

新装版 白い家の殺人 (講談社文庫)

これらの本は、単純に謎解きを楽しみながら読みました。こういった肩の力を抜いて読めるものも、凝りに凝ったトリックが使われていて、読み飽きません。