タテハ通信

好きな物があればあるほど人生は楽しい。そんな私の日常を綴っています。

春を嫌いになった理由

春を嫌いになった理由(わけ) (光文社文庫)

春を嫌いになった理由(わけ) (光文社文庫)

ドラマ『ストロベリーナイト』は毎週見ていました。トラウマを抱えながら、それ故に働く鋭い勘を活かして竹内結子さん演じる姫川警部補が事件を解決していく様は、胸のすく思いがしたものです。

彼女の、刑事として生きる上の苦悩や、大胆な行動の裏に隠された繊細な感情の変化にも共感出来、のめりこんで観たドラマの一つです。

誉田氏の小説を読んだのはこの本が初めて。旅行の車中の時間潰しに、『まあ、この本ならいいか』と、気軽に選んだ一冊でした。

しかし読み始めた途端に、いつものように車窓の風景を眺めるのも忘れて、たちまち夢中になって読みふけっていました。

気が付くと、もう目的地に到着しています。

到着した安心感にほっとするよりも、珍しく、早く続きが読みたいという気持ちになったのです。

 

ここで詳しく説明する事は出来ませんが、三つの全く異なるストーリーが並行して進んで行き、どこで交錯するのかと焦らされます。それも読者を引き付ける為の技法、作者の巧みなところなんでしょうね。

そして、最後の最後にその三つが重なり、ああ、ここに繋がるのかと納得するのです。その上、読者の小さな疑問は持ち越され、最後の1ページまで目が離せない展開になっています。

心に傷を抱える主人公(この点では、ストロベリーナイトの姫川警部補に似ています)や、周りの思惑が絡まりあい、最終的には全てが納まるべき所に所に納まる、という物語の展開は、読後にモヤモヤしたものを残さず、私は好きです。

ストーリーばかりではなく、誉田氏の文章の自然さ、美しさも評価してしかるべきでしょう。

この本を読んで、彼の他の小説も読みたくなりました。